廃棄物処理施設設置許可申請専門の行政書士による廃棄物処理法と廃棄物施設設置許可の解説

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廃棄物処理施設設置コンサルタントによる
産業廃棄物処理施設設置許可の解説

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101.「産業廃棄物処理施設」とはなにか?

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101.「産業廃棄物処理施設」とはなにか?

執筆者 河野 雅好
全国の廃棄物処理施設設置と生活環境影響調査を手掛ける環境コンサルタント
株式会社Midori代表取締役
行政書士・環境計量士
公害防止管理者・測量士
「産業廃棄物処理施設」という用語は、廃棄物処理業界を含めてかなり誤用されていることが多いように思われます。「廃棄物処理施設」は廃棄物処理法に法的な定義をもつ法律用語なのですが、法律用語の定義とは異なる意味で「廃棄物処理施設」という用語が使われているケースをかなり多く見受けます。中には「産業廃棄物処理施設」ではないにも関わらず、看板にそのように記載しているものもあり、どうもこの「産業廃棄物処理施設」という用語の正確な法律上の定義がプロである廃棄物処理業者の間であっても知られていないように感じています。今回は「廃棄物処理施設」の法律上の定義について解説します。

「産業廃棄物処理施設」について規定した条文は、廃棄物処理法15条です。まずは、廃棄物処理法15条を引用してみます。

(産業廃棄物処理施設)
第15条
産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。

この条文は、産業廃棄物処理施設の設置には許可が必要であることを規定した条文です。しかし、もう一つ非常に重要なことを定めている条文なのです。これが、じっくり読まないと読み落としてしまうところで、冒頭に説明した「産業廃棄物処理施設」という用語の誤った使用の原因でもあるのです。この条文には、「産業廃棄物処理施設」と非常によく似たように見える「産業廃棄物の処理施設」という概念を同時に使用しています。そして、「産業廃棄物」と「産業廃棄物の処理施設」は別物であると言っているのです。条文から、2つの違いを読み取っていただけたでしょうか。法律の条文を読み慣れていない人は、この違いが頭に入ってきにくいかもしれません。括弧の中に「産業廃棄物の処理施設」という文言が登場しています。「の」があるだけで内容は同じじゃないのかと思う人もいるかもしれませんが、全く違います。

まず、この括弧は何を意味しているのでしょうか。これは「産業廃棄物処理施設」の定義規定なのです。つまり、括弧の前の「産業廃棄物処理施設」と括弧内の文章は、イコールの関係にあるものです。では、括弧の中を再度、一部抜粋してみます。これが「産業廃棄物処理施設」の定義です。

「廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう」

廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場というのは、その後に続く「その他の」という文言から判断されるように「産業廃棄物の処理施設」の例示列挙です。例示ですので、「廃棄物処理施設」を定義する要素ではありません。そうすると括弧内をさらに一部抜粋することで以下の定義が導かれます。

「産業廃棄物の処理施設で政令で定めるもの」

いかがでしょうか。この非常にシンプルな文言が、「産業廃棄物処理施設」の定義ということになります。「産業廃棄物処理施設」を定義する際に「産業廃棄物処理施設」という概念を用いると、これは循環論法になってしまうので、15条の括弧内に使用することはできません。廃棄物処理法は「産業廃棄物の処理施設」という別概念を使い「産業廃棄物処理施設」を定義したのです。

「産業廃棄物処理施設」=①「産業廃棄物の処理施設」かつ ②「政令指定」

①②という2つの要素から「産業廃棄物処理施設」が定義されます。では「産業廃棄物の処理施設」に条文上の定義があるのかというと、それはありません。定義なく使われているということは、常識的に判断して、「産業廃棄物を処理する施設」が「産業廃棄物の処理施設」ということになります。なお「処理」については法的な定義がありますので、それは紹介しておきます。

(目的)
第1条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

目的規定の中に、「処理」について「廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等」と定義されています。産業廃棄物について「分別、保管、収集、運搬、再生、処分等」の全てが処理に該当するならば、「積替保管施設」も「廃棄物の処理施設」といえそうです。そのように解釈する条例は多く存在するのですが、廃棄物処理法15条の解釈においては「廃棄物の処理施設」の中に「積替保管施設」までを含むのかを読み解くのは難題です。条文そのままに文理解釈すれば「積替保管施設」は含んでいると考えられますが、日常的に私たちが「廃棄物の処理施設」という言い方をするときは、「廃棄物の処理施設」のうち「廃棄物処理施設」を除外した中間処理施設を指すことが多いように思えます。

このように、「廃棄物の処理施設」と「廃棄物処理施設」を明確に区分する必要性があるのは、事業を実施するにあたってどちらの施設に該当するかによって必要な許可が異なるからです。「廃棄物処理施設」を設置するには廃棄物処理法15条の産業廃棄物処理施設設置許可が必要になりますが、「産業廃棄物の処理施設で産業廃棄物処理施設に該当しないもの」の設置には、少なくとも廃棄物処理法上は許可が必要ありません。

廃棄物処理施設は、廃棄物処理法施行令7条に限定列挙されています。施行令7条に該当するかどうかが廃棄物の処理施設の設置にあたって計画の資金面や期間面を大きく左右することになるのです。また、この廃棄物処理法施行令7条は、廃棄物処理法のみならず、建築基準法施行令で準用されており、規制の適用は建築基準法にまで及びます。そういう意味で、非常に重要な条文です。

(産業廃棄物処理施設)
廃棄物処理法施行令第7条
法第十五条第一項の政令で定める産業廃棄物の処理施設は、次のとおりとする。
一 汚泥の脱水施設であつて、一日当たりの処理能力が十立方メートルを超えるもの
二 汚泥の乾燥施設であつて、一日当たりの処理能力が十立方メートル(天日乾燥施設にあつては、百立方メートル)を超えるもの
三 汚泥(ポリ塩化ビフェニル汚染物及びポリ塩化ビフェニル処理物であるものを除く。)の焼却施設であつて、次のいずれかに該当するもの
 イ 一日当たりの処理能力が五立方メートルを超えるもの
 ロ 一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
 ハ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
四 廃油の油水分離施設であつて、一日当たりの処理能力が十立方メートルを超えるもの(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第三条第十四号の廃油処理施設を除く。)
五 廃油(廃ポリ塩化ビフェニル等を除く。)の焼却施設であつて、次のいずれかに該当するもの(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第三条第十四号の廃油処理施設を除く。)
 イ 一日当たりの処理能力が一立方メートルを超えるもの
 ロ 一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
 ハ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
六 廃酸又は廃アルカリの中和施設であつて、一日当たりの処理能力が五十立方メートルを超えるもの
七 廃プラスチック類の破砕施設であつて、一日当たりの処理能力が五トンを超えるもの
八 廃プラスチック類(ポリ塩化ビフェニル汚染物及びポリ塩化ビフェニル処理物であるものを除く。)の焼却施設であつて、次のいずれかに該当するもの
 イ 一日当たりの処理能力が百キログラムを超えるもの
 ロ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
八の二 第二条第二号に掲げる廃棄物(事業活動に伴つて生じたものに限る。)又はがれき類の破砕施設であつて、一日当たりの処理能力が五トンを超えるもの
九 別表第三の三に掲げる物質又はダイオキシン類を含む汚泥のコンクリート固型化施設
十 水銀又はその化合物を含む汚泥のばい焼施設 十の二 廃水銀等の硫化施設
十一 汚泥、廃酸又は廃アルカリに含まれるシアン化合物の分解施設
十一の二 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
十二 廃ポリ塩化ビフェニル等、ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の焼却施設
十二の二 廃ポリ塩化ビフェニル等(ポリ塩化ビフェニル汚染物に塗布され、染み込み、付着し、又は封入されたポリ塩化ビフェニルを含む。)又はポリ塩化ビフェニル処理物の分解施設
十三 ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の洗浄施設又は分離施設
十三の二 産業廃棄物の焼却施設(第三号、第五号、第八号及び第十二号に掲げるものを除く。)であつて、次のいずれかに該当するもの
 イ 一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
 ロ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
十四 産業廃棄物の最終処分場であつて、次に掲げるもの
 イ 第六条第一項第三号ハ(1)から(5)まで及び第六条の五第一項第三号イ(1)から(7)までに掲げる産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所
 ロ 安定型産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地を除く。)
 ハ イに規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地にあつては、主としてイに規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所として環境大臣が指定する区域に限る。)

少し分かりにくいのが、八の二「第二条第二号に掲げる廃棄物(事業活動に伴つて生じたものに限る。)」の部分です。施行令2条2項2号を読まないと分からない条文になっていますが、これは産業廃棄物の「木くず」のことです。面白いのが括弧書きの(事業活動に伴つて生じたものに限る。)の部分で、そんなことは施行令2条が産業廃棄物の定義規定であることから明らかではないかと思うのですが、条文をよく読んでみるとなるほど、この括弧書きは必要なようです。廃棄物処理法は産業廃棄物を次のように定義しています。

廃棄物処理法2条4項1号
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物

つまり、「廃棄物処理法で事業活動に伴って生じた」という要件を課して、政令(=施行令7条)では事業活動性を規定していないので、施行令7条を準用するには、あらためて事業活動性を規定しなければならないということです。

今回は「産業廃棄物処理施設」という廃棄物処理法の重要概念について解説しました。その際につい見落としがちなのが「産業廃棄物の処理施設」という「産業廃棄物処理施設」と似て非なる概念との違いでした。この2つの用語は紛らわしくて、廃棄物処理業に携わるその道のプロでも概念の切り分けができてないということがみられるものでした。特に、これから廃棄物の処理施設を設置しようと計画するときには、その施設が施行令7条に該当するものであるのかどうかによって計画は全く違うものにならざるをえないですので、この2つの用語の違いには細心の注意を払っていただければと思います。

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企業情報

会社名
株式会社Midori
創業
2003年 4月
設立
2017年 12月
代表取締役
河野 雅好
従業員
12名(グループ全体33名) 2024年3月現在
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計量証明事業所登録(音圧レベル 広島県知事第K-119号)(振動加速度レベル 広島県知事第K-120号)
測量業登録(登録第(1) -37139号)
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事業内容
・環境アセスメント
・廃棄物処理法に基づく生活環境影響調査
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・環境測定分析及び騒音振動測定
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弊社保有資格
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環境計量士(濃度)1名
水質1種公害防止管理者  2名
騒音・振動関係公害防止管理者 1名
ダイオキシン類関係公害防止管理者 1名
産業廃棄物中間処理施設技術管理士 1名
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環境騒音・振動測定士初級 1名
測量士 1名
測量士補 2名
行政書士(有資格者含む)4名
乙種4類危険物取扱者  1名

(令和 6 年 4 月 1 日現在)

講習会等
東京都一種公害防止管理者  1名
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医療関係機関等を対象にした特別管理産業廃棄物管理責任者講習会修了者 1名
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産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会(新規)収集・運搬過程 修了者 1名
産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会(新規)処分過程 1名
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(令和 6 年 4 月 1 日現在)

運営サイト
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